2018年1月24日水曜日

< 眉唾1 >

最近の記事のうちいくつかは、その道では高名だったり有名だったりと、世間に知られて「識者」の言で、素人が太刀打ちできるような相手ではないのだが、でも遠慮する要はない、と思わせる内容である
 ひとつには、こんな記事である、・・
『 株価や不動産価格が高すぎる。今後、こうした価格が下落していく可能\性に備える必要がある。こうした指摘を内外のいろいろな論考で読むことが多い。確かに、米国でも欧州でも金利上昇の局面にあり、金利上昇が続けば、不動産や株の資産価格下落の原因ともなりうる。
 では、仮に金利が1%から2%に上昇したとしたら、不動産価格はどれだけ変化するのだろうか。答えは難しい。税金、人々の予\想、不動産への需要など、さまざまな要因が影響を及ぼすからだ。ただ、単純な経済計算によれば、金利が1%から2%に上がれば、不動産価格は半分になってもおかしくないという結論が出てくる。これは少し考えれば難しい話ではない。
 例えば、毎月10万、年間で120万円の家賃を生み出すアパートを想定してほしい。1%の金利でこのアパートへの投資が採算に合う金額はいくらだろうか。その答えは1億2千万円になることが分かるはずだ。1億2千万円を債券投資に回せば、1%の金利で毎年120万円の利子収入が入る。同じ金額をアパートに投資すれば、やはり同じだけの家賃収入が入るのだ
・・・
 さて、金利2%のケースで同様の計算をするとどうなるか。先ほどの半分の6千万円が採算ラインであることが分かるだろう。6千万円を債券に投資すれば、2%の金利で毎年120万円収入が入る。これとアパートの投資が同等の利回りをあげるためには、アパートの価格は6千万円という計算になる。
 ・・・
 世界的に不動産価格や株価が非常に高い水準であるというのは、世界的に超低金利が続いたということと無縁ではない。その超低金利が修正されるとしたら、不動産や株の価格への影響は非常に大きいだろう。誤解がないようにしたいが、バブルが弾(はじ)けるということではない。もし今の状況がバブルであれば、価格の下落はもっと大きくなるかもしれない。』(伊藤元重『金利2%に上昇したら不動産価格は半額になる?』 産経 8/28)

同額の収益(本来なら利益を基準にすべきかも)を産む資金量(元手)は、各種投資資産の間で「自在」に「移転」できかつその移転コストに差異がなければ「裁定」が働いて、それに要する元手の額が一定額に収斂するだろう、とは素人にも「そうかもしれない」と思わせる・・・年利回りによる比較が、誰にでもいつでもできる環境にあれば。

でも、すぐに思いつくのは、仮に年利回りがゼロ金利状況にあるとして、それが1%なり2%なりになって行く「過程」があって、その間にその年間120万円の家賃収入自体がそのままではあり得ない(だろう)、ということが、仮に複雑な事柄をどんなに話しを単純化するにしても、経済の本質的要素であって、省いてはいけない要因であるはずだ、と・・・・・・年利回り1%が2%に成っていく過程は、一分野のみに強制的な締め付け措置が講じられる場合でもない限り、むしろ、より高い利回りの投資機会が増加していく過程でもあるはずだ、・・・収益還元値がそのままその賃貸不動産の時価評価額となるわけでもない、年120万円の収益を産む簿価1億2千万の賃貸不動産は上昇する金利にともない増加する利払い後の利益のカイゼンを図る手立てを講ずることが可能\な経済環境が産まれているだろう、と!!・・・四則の演算を知るものならば「話し」に間違いはない、ことぐらいは分かる、・・・いうまでもない、金利が上昇するだろうという「期待」は、市場性がある限りで、地価や株価やの投機対象資産の時価の抑制や下落要因であるだろう、まして、仮に1%が「いきなり」2%になり年120万円収益を産むに要する「元手」が計算上6千万円と想定されて、それが「そのまま」不動産売買(時価)額として1/2となったら、単に「減損」を会計上強いられるに止まらず、バブルかどうかの卓上議論に関係なく、ほとんどすべての不動産関連業者とその資金提供金融機関が倒壊するだろう、と!!
・・・しかし、それは収益還元の方法の算数の演習であって、・・・いや、たしかに、『・・・答えは難しい。税金、人々の予\想、不動産への需要など、さまざまな要因が影響を及ぼすからだ。・・・』と断り書きがある、・・・けれども、肝心のこれらの点を「講じて」こそ、はじめて「経済」論議であるはずのものだろう、・・・肝心の事を省いて、省いてはいけない本質的な要因を削り取って捨て置いて、組み立てられた「話し」は講壇経済「学」ではあっても、これは「経済」ではない、と!!
 1%から2%、3%と上昇していく金利のその根底にそれを十\分に賄う利益の増加が示現される長期の持続する経済環境をどうすべきか、という議論こそが肝心の事柄で、それこそが経済政策論議でないのか、と!!

 素人がよくは知らない、あるいはよくは分からない領域で、「識者」達が「学」を装って、どのような議論を振りまいているか、の事例、とも云えるお話し、であるかに思われてくる・・・眉に唾して掛かるべき、と教えてくれているかに思われてくる!!!