2018年6月7日木曜日

< 卓上の虚妄 >

農政評論家の山下君は、「トランプ米大統領訪日と日米FTA」と題して、次のように言う・・・

『・・・・上策は、日米FTAを拒否してTPPに復帰するよう、トランプ大統領に主張することである。もちろんトランプ大統領は気分を害することだろうが、独立国として筋を通し、彼に対しても毅然とした態度を示せばよい。
・・・
 下策は、アメリカの要求と国内の農業界の板挟みとなった日本政府が、TPP並みの条件で日米FTAを結ぶことである。最も日本政府が採りそうな選択肢だが、最も下等な選択肢である。
・・・・
 さらなる上策は、日米FTA交渉を行い、日本の農産物関税を全廃することである。
 米などの農産物関税を撤廃すれば、国際価格よりも高い価格は維持できなくなる。納税者にも消費者にも総額1兆円、一人当たり1万円の負担を強いてきた減反政策は維持できなくなる。国民消費者は農政の負担から解放されるし、農業にも新たな飛躍のチャンスが到来する。関税引き下げで影響を受ける主業農家には、アメリカやEUが採用してきた直接支払いという世界中の経済学者が勧める処方箋がある。財源は4千億円の減反補助金である。』( 山下一仁 CIGS 20171102)


「独立」国であれば拒否もできるだろう、しかし、もちろんのこと、独立国であっても拒否できないことも外交・軍事の「国際」にはあるだろう!!!

いまの日本は、日本国民にしてみればむろん独立国である、けれど「関税」そうろう、あるいは「経済」候の外交ができる「国際」上の「環境」にあるのか、といえば、誰もそうだとは考えられない、というのが「実態」だという認識ではないのか?

「独立国として筋を通し、彼に対しても毅然とした態度を示せばよい」のは、どの「独立国」にも望ましいことは、謂われるまでもないことだ、・・・肝心の課題は、それができる環境にあるのか?ということだ、そんなことができるのは、軍事核大国の三大いやもはや二大国だけである!!!

「トランプ大統領は気分を害する」、などということで済むような軍事・外交・政治の環境でない事は、自明のことだ!!!

識者とか評論家になけなしの僅かでも「期待」するところがあるとすれば、そういう実態の認識、というよりごく「当たり前」常識的な受け止め方に応え得る見解を示すところにある、と思えるのだが、この御仁には、いつもこの観点がまったく欠落している、としか思われない!!!
その現実・実態から遊離した「自説」に自身が「酔って」、おまえ等アホどもに秘策を教えてやっているのだ、とでもいう風情である!!!

ここで言われる「さらなる上策」は、或る二国間の交渉だけでなく、世界中のどのような交渉にも適用され、成り立つものと受け取るしかない(ような)記述だ!・・・ちなみに、仮に、「日米FTA」という部分を他のどのような二国間だろうが他国間だろうがその名称に書き換えてみればよい、・・・すぐに分かるだろう!!!


この論調に横たわる「構\え方」は、「左翼の平和主義者」(その主張によっては、真に平和が齎されることなど無い、歴史や自在な人格が無化される悲惨な隷属状態しか齎らされない・・・ソ\連、共産中国その他が実証している)が、軍備を放棄するといえば戦争がなくなる、という「理論」を装った「虚妄」と酷似している!!!!

ただ、誤解してはけない、・・課題自体は、論じなければならないものである、・・・「農協」はじめ多いにそれぞれの見解・政策を示してほしい、と「国民」は願うばかりだ!!