< 再論;本当に代案が無いまま、過ごして来たのか?> 以前、山下なる元農政官僚がCIGSに掲示した記事に触れたことがある・・・ 『・・・では、我々(日本のこと)はどうすべきか? アメリカ抜きの新TPP協定を結ぶのである。EUから離脱したイギリスに声をかけるのもよい。 ・・・いずれアジア太平洋の孤児となったアメリカが、新TPP協定への加入申\請をするかもしれない。 この場合、新規加入申\請国はすでに加盟している国に要求はできない。既加盟国の要求を飲まされるだけの交渉となる。豪州は新薬のデータ保護期間を5年とするようアメリカに要求するだろうし、自動車の関税撤廃に25年も要するという合意をTPP交渉で飲まされた我が国は自動車関税の即時撤廃を要求すればよい。 ・・・ アメリカにとってこれまで経験したことのないみじめな交渉となる。そのときアメリカはやっと自らの愚かさに気づくに違いない。』(愚かなアメリカが沈めるTPP;20160928 CIGS) その後、TPPの合意内容を酷い内容だと否定的意見を示していたのだが、その当の元官僚は、「なぜ、米国抜きのTPP締結を官僚は現政権に進言しないのか」と怒りをあらわにした記事を掲示している。 『 トランプ米大統領に日本が突きつけることができる刃 アメリカ農産物は、日本市場から駆逐される。日本市場を失ったアメリカの雇用は失われる。口先だけで「自由で公正な貿易の重要性」を説いても、トランプは聞く耳を持たない。トランプ氏を翻意させる最も効果的な手段は、アメリカ抜きのTPPを締結することである。これこそがトランプ氏に日本が突きつけることができる刃である。 日本政府の役人がこれに二の足を踏むのは、TPPの国会承認を求めたのに、アメリカ抜きのTPPの国会承認を求めるとすれば、野党にアメリカ不参加の見通しの甘さを追及されるのではないかという不安である。 しかし、これは役人の保身から来る対応である。日豪、日メキシコ、日ベトナム、日マレーシア等、TPP参加国と結んだ二国間FTAとTPPは併存している。業者は有利な規定を選んで貿易できる。TPPとアメリカ抜きのTPPが併存しても何らおかしいものではない。 保身よりも国益を重視した対応を行うべきである。』(CIGS20170214) 自分はこうを述べて置いた。 「・・・シンガポールほかアジア諸国は、USが参加しなくともさして気にも留めない事だろう 元々が日本もUSも何物でもなかった 遠からずシンガポールその他は、隣国である大陸中国をメンバーに入れなければならない、これはMUST事項だと必ず主張する これまでUSよりも日本こそが対中国戦術としての政治的な意図を込めて来た動向は、一瞬にして真逆の意義を帯びて、むしろ日本こそが“排除”の対象となるだろう・・」(20161017付け TPPとUSとCHINA ) (別段、シンガポールは間違いで「チリその他」とすべきだったとかの点は、ここではどうでもよい) 「・・・シンクタンクと称される一つに掲示されている記事だ。 「イギリスに声がけ」なんていう空想はどうでもよいが、なによりも、米国が後々再交渉してくれなどと云ってくるわけなど全くあり得ない、と思われる。」(本当に代案が無いまま、過ごして来たのか?20161123付け) 要するに、「イギリスに声かけする」とか「アメリカ抜きのTPPを締結することである。これこそがトランプ氏に日本が突きつけることができる刃である」などというのは、「絵空事」の提言だという趣旨なのだが、・・・・ ところが、あれだけ異口同音に「米国抜きでは意味がない」としてきた政権とその政党において、いま、11か国で締結に向けて日本「主導」で動いてみせているかのように報じられているのだ。 空想の山下君の提言が効いたのかどうかは不明で(たぶん、そんなことはないだろうし、それはどうでもよいが)、いったい背景に、どのようなどれほどの「構\想」や「勝算」があっての事なのか? 「構\想」を欠いているがために、どちらに進むべきかわからなくなったこの政権のふらついた足取りで、しかも「動機」がひたすら米国に振り向いてもらうためという矮小な「日本仕様」でしかない、その上役人任せの、・・・・尻に火がついてから大慌ての態で、広域交渉なんぞ、・・・できるわけがない!! 「世界」は、とくに「アジア」は、もうとっくに「東方」に顔を向けることは無くなっていることに、まだ気が付かない!! いや「気づきたくない」のだ!!・・しかし、そんな者達に、何を委ねようとするのか?! それにしても、右翼保守に多い反対派はTPPが潰れたことを少しも喜ぶ様子がなく、賛同派も、ダンマリであるのは何を意味するのか?と、問うてみると、また新たに、右翼保守のその見掛け倒しの威勢のよさとその内実の空疎さ(血道な基礎研究の足場とその分析の欠如に由来する)に思い至る 総じて、明らかなのは、経済に関する「自身の」構\想を持たない者が、トップに立ってはいけないことである