< 思い課題と日本の知(かつ痴)的状況 > 遠藤誉という、現代中国学者は、中国生まれ育ちだそうだ、が、日本の報道メジャーはあまり取上げない方らしい、・・・しかし、その個人的見解に対しては読み手によって賛否さまざまであり得るだろうが、・・・しかし、学のない「庶民」にはその真偽を確かめる術がないのだが、誉さんが歴史上の事実として挙げる事柄は素直に受けとるべき、と思わせる。 メディアに露出する「識者」と称される連中のほとんどが、「事実」を示すこと、あるいはその主張の根拠や証跡を示すという基本動作をまったくしない、という貧相な状況の中では、とても貴重だ。 (断るまでないが、偶に見掛ける女史の私人としての意見部分には首肯するばかりとは限らない、それは誰に対してもいえる事だ) その女史が、「日本はAIIBに参加すべきではない―\―\中国の巨大化に手を貸すな!」と題するエッセイをネットに掲示している。 『 日本がAIIB参加を前向きに検討し始めたようだ。これがどれだけ危険なものであるか、日本は気づいていない。日中戦争が中国共産党を巨大化させたように、日本のAIIB参加は中国の覇権に手を貸すことになる。 ・・・ スリランカの場合、南部にあるハンバントタ港は中国からの融資(年利7%弱)で建設された。完成しても船舶の利用が少ないため、ゴーストタウンならぬ「ゴースト・ポート」化している。財政難にあえぐスリランカ政府は昨年、11億ドルで港湾管理企業の80%を「99年間」中国企業に貸し出すこととなった。 この「99年間」! 皆さんは、なんの数値を連想なさるだろうか? それはアヘン戦争後の1898年に、イギリスが香港を清朝政府に割譲させ、「99年間の租借」を決めた数値と一致する。香港は99年後の1997年に中国に返還されたが、それまで「99年間」、イギリスの統治下に置かれたことは、今さら言うまでもないだろう。 一帯一路とAIIBは、中国の「新植民地化政策」以外の何ものでもない。 ・・・ 習近平政権の国家スローガンは、「中華民族の偉大なる復興」と「中国の夢」。 「偉大なる復興」は「アヘン戦争をきっかけに列強諸国により中国は植民地化されたが、これからは中国の時代。その復讐をして、今度は中国が経済的に植民地化してやる」という心を内に秘めている。 それが如実に表\れているのが、この「99年間」という数値なのである。これは新たな形の「租借」で、これらを拠点に中国は港を軍港化し、中国の安全保障を確保していく野心を「美辞麗句」の下に隠しているのである。 そのことを明確に認識しているインドは、このたびの一帯一路サミットに代表\を送らなかった。中国が「真珠の首飾り」と称されている安全保障(=軍事)戦略を、一帯一路の「海の新シルクロード」に含ませていることを、インドは見抜いているからだ。 「真珠の首飾り」とは、香港からポートスーダンまで延びる中国の海上交通路戦略で、パキスタン、スリランカ、バングラデシュなどインド洋を経由して、モルディブ、ソ\マリアなどを通り、マラッカ海峡、ホルムズ海峡などへと触手を伸ばす中国の海路戦略だ。 この海路戦略は、「経済の名のもとの軍事戦略」以外の何ものでもない。 日本がAIIBや一帯一路に参加することは、すなわち中国の世界制覇に手を貸すことなのである。 日本はいったい、何度失敗すれば気が済むのだろう。 中国共産党の洗脳が、どれだけうまいか、気づくべきである。 1972年に日中国交正常化した後に中国に対して経済支援を続けてきたのは、やむを得ないことではあれ、敗戦に伴う戦争賠償金を支払って、戦後処理を終わりにすべきだった。 しかし老獪(ろうかい)な毛沢東は賠償金を断って、未来永劫に日本から経済支援を受ける手段の方を選んだ。結果、日本はODA支援を続けてきたし、天安門事件(1989年6月4日)により西側諸国の経済封鎖を、いの一番に解いて、中国への経済支援を主導していったのである。1992年の天皇陛下訪中は中国(江沢民政権)からの強い要望によるもので、中国は「天皇が訪中してくれさえすれば、過去のことは一切問題にしない」と約束した。 しかし、どうかだったか? 天皇陛下訪中を見た西側諸国は経済封鎖を解き、アメリカなどは、むしろ非常に積極的に中国への経済支援に邁進した。そうすれば、やがて中国が民主化するだろうなどという、あり得ない期待をしていたからだ。 その結果、2010年には中国のGDP規模は日本を凌駕し、日本への「歴史カード」を、これでもかとばかりに突き付けてくるようになる。 日米ともに、まんまと中国の長期戦略の罠に嵌ったのである。 ・・・ このたびの一帯一路サミットで、習近平国家主席は「中国は決して思想や政治体制を輸出しないし、内政干渉をしない」という主旨のスピーチをしている。 本当だろうか? たとえばモンゴルの場合。 仏教徒の多いモンゴルは昨年、ダライ・ラマ14世を招聘した。中国は抗議し、もしダライ・ラマを選ぶのなら、一帯一路には参加するなと脅しをかけてきた。 モンゴルは、チャイナ・マネーを選んだ。思想、精神文化の自由を犠牲にして、中国の思惑を選んだのである。 ・・・』(部分 5/17) この先には、では、どのような対処が可能\か?という「問い」が横たわっている。 でも、本来ならば、「識者」の間で、大議論が巻き起こるべき事案だが、経済学者も政治学者も評論家連中は、いつも通り、なんらの事実収集も分析もなく、ダンマリで、政権や政党の親玉たちの発言をナゾルだけである!! 皆さんは、如何か?