2015年9月13日日曜日

職業柄、中学生や高校生に社会科を教えます。中学3年生を相手にすると

職業柄、中学生や高校生に社会科を教えます。中学3年生を相手にすると、ちょうどこれから公民の政治分野を話すことになります。そこで子ども達と議論していると、毎年決まって「政治家なんてお金儲けしたいだけでしょ?」「政治家になると儲かるんでしょ?」「政治家なんて自分のことしか考えてないんだよ」というような意見が出てくるわけです。さて、こういう反応が大勢を占めるのが実態なのですが、このことはいったい何を意味するのでしょうか。

子は親を映す鏡と申\します。もう少し広く考えて、大人を写す鏡、あるいは社会を映す鏡と捉えた方がよいかも知れませんが、さして政治に強い関心を持っているわけではない、普通の子ども達の見解がこのようであるというのは、ある意味で非常に深刻な事態だと危惧しています。

要は、家庭内の大人たちの会話、テレビから垂れ流されるニュースや解説、あるいは各種の情報番組、学校の先生の見解、そういった子ども達の耳に入る様々な声の総体がそういう内容になっているということだと思うのです。実際に、時々たわけた政治家がいることは事実ですし、それはそれで大変な問題なのですが、そういう報道が極めて大きな取り扱いを受ける割に、地道だけれども、コツコツがんばっておられる政治家も与野党問わず存在することは、ほとんど報じられていないわけですから、当然と言えば当然の結果ではあります。

しかし、そういう中で、選挙権が18歳になるわけです。投票に行ってもらって投票率を上げることも大事なのですが、「政治は汚いもの」という誤った先入観がこれだけ子ども達に植え付けられている現状で、社会経験のほとんどない18歳に「まともな判断をしろ」という方が酷である気もします。根本的なところで、何かを変えねばならない気がします。

そして、こういう土壌が、小泉元総理や橋下市長のような人を生むのだろうという気もします。「今までの政治家はみんな汚い」と思い込んでいる国民の心理を、上手いこと逆手に取って人気者になるという手口は共通です。しかし、その結果繰り広げられるパフォーマンス政治では、ちっともこの国はよくなりません。

せめて子ども達には、政治に少しでも希望を持ってもらえるようになるとよいと思いますし、そのためには大人たちの誤解を少しずつでも解いていかなければなりません。そして、その結果として、有為な人物が国会議員になろうとする社会にしなければならないと思いますが、そのためにどうしたらよいか、私には妙案が浮かびません。西田先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。