2020年4月20日月曜日

サプライサイドを重視した経済学とは一体なんだったのでしょう?

サプライサイドを重視した経済学とは一体なんだったのでしょう?

オイルショックとそれに続くスタグフレーション以降、新自由主義的な改革が行われましたが、それはケイン
ズ経済学からの脱却(需要中心の経済学からの脱却)を志向していました。しかし、それらの改革は蓋を開け
てみれば先進各国での生産性の伸びの鈍化を深刻化させ、挙げ句の果てには「イノベーションの冬」(ユーラ
シアグループの提示した2019年の経済的リスクのひとつ)を引き起こしかねないところまで状況は悪化しまし
た。
中野剛志先生は著書の中で、「イノベーションのシード(種子)は大企業で生まれ、ベンチャー企業はそれを
事業化しているに過ぎず、その上近年ではベンチャー企業がシードを活かせる環境すら喪失しつつある」、
「オフショアや金融中心主義的な制度、さらには無意味なまでの賃金格差を誘発するストックオプションと自
社株買いにより大企業からイノベーションのシードを作り出す能\力が失われていっている」、「イノベーショ
ンのシードの事業化には、『非効率的かつ長期的な資本投入(儲かるとは限らない投資)』が必要」と言った
ことを実証的に説明なさっていますが、サプライサイドを謳うマクロ経済学やミクロ経済学をやっている経済
学者からはそのような声はほとんど聞こえてきません。一体彼らは何がしたいのでしょうか?