2017年8月30日水曜日

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元農政官僚の山下君の記事の一部である(CIGS 5/10付け)・・・
『・・・
アメリカの機嫌を損なうことを恐れる人たち
 ・・・ある報道によると、日本がTPP11を推進することにアメリカが反対しないことを確認してから、最終的に決断したと言われている。
 しかし、何かとてもおかしいのではないだろうか?
 何年もかけて交渉した後ようやく合意したTPPから勝手に抜けたのは、アメリカである。日本も含め、他のTPP参加国が何をしようが、アメリカにとやかく言える筋はない。
 迷惑をこうむっているのは11カ国である。それなのに、アメリカのご意向を確認しないと日本は自らの行動を決断できないのだろうか?
 これではアメリカの属国のようなものである。トランプだけではなく、日本政府の中にも?アメリカ第一?、アメリカの機嫌を損なうことを何よりも恐れる人たちがいるのだ。

TPP11の進め方
 ともあれ、政府はTPP11を決断した。あとはどうやって11カ国の合意を取りつけるかである。
 アメリカ市場へのアクセスを条件に他の分野での譲歩に応じた国はTPP11に消極的になるだとか、再交渉を求めることとなるとかという問題点が提起されている。
 これに該当する国はベトナムだろう。アメリカの関税で高いものは繊維製品で、他の品目の関税は低い。ベトナムは繊維製品の分野での関税撤廃、アクセス拡大の見返りに、国有企業で譲歩したと言われる。
 しかし、ベトナムはTPP交渉で国有企業について多くの例外を勝ち取っており、それほど譲歩したとは思われないし、ベトナム政府内部にも国有企業の改革を推進しようとする意見が強く、譲歩ととらえているかも疑わしい。
 もちろん、ベトナムがこだわるようであれば、ベトナムを入れないでTPP10としてもよい。

しかし、私が主張してきたように、アメリカ抜きのTPPは、アメリカにTPPに復帰させるための手段だと言うことである。アメリカがTPPに復帰すれば、ベトナムの懸念はなくなる。この点をベトナムに説明すればよい。
 これは、日本政府としてあくまでTPP11を求めるのであって、日米FTAには応じないというコミット(約束)を、他のTPP参加国に対して行うことに他ならない。
 日米FTAができれば、アメリカがTPPに復帰することはありえなくなるからである。日米FTAをやりたくないのであれば、TPP11を推進し、アメリカの復帰を求めるという約束を他のTPP参加国にしているのだと、アメリカに言えばよい。』

米国の顔色を窺い、その上でしか方策を建てられない者達を、彼なりに筆に精一杯の怒りを込めて書いている。・・・その憤怒の対象は役人に向けられていると受け取られるが、それは現政権の中枢部分の姿勢の反映なのだから、本当は役人を叱っても仕方ないのだが、・・そこまでは口に出来ない環境にあるのだろう、たぶん。


この農政専門家の提言にはいつも違和感が拭えないのは、なぜだろうか?
「私が主張してきたように、アメリカ抜きのTPPは、アメリカにTPPに復帰させるための手段だと言うことである。」
「日本政府としてあくまでTPP11を求めるのであって、日米FTAには応じないというコミット(約束)を、他のTPP参加国に対して行うことに他ならない。」
「日米FTAができれば、アメリカがTPPに復帰することはありえなくなるからである。日米FTAをやりたくないのであれば、TPP11を推進し、アメリカの復帰を求めるという約束を他のTPP参加国にしているのだと、アメリカに言えばよい。」
こうした山下君の主張・提言は、一読して、どんなに素人であっても、次のような疑問が直ちに湧いてくる。

? 参加国の中には、共産中国を加えてやり直すべきとする国もあると報道はいう、・・・それが現時点の内容のママで可能\かどうかは疑問だろうが、・・・なぜ、そういう点の分析はしないのだろうか?
? そもそもが米国仕様で他の国が譲歩したものなのだろう、・・・それでもその当人が「締結しない」 と「世界」に断言し二国間での交渉しかしないという米国が、実際日本がそれに応じない場合にどのような「措置」を講じて来ることとなるのか、それに対応する「用意」や「覚悟」とその基盤となる「経済政策」(外交・軍事策を伴った)があるのか、あり得るのか?
? 米国以外との「約束」事が、なぜ、米国側に対する日米FTA拒否の事由となり得るのか?
他国とどのような約束事をしていようと、米国が「それが何」と云い頓着することなどあり得ない、というのが現在の日米関係の実相ではないのか?
? いったい全体、「アメリカ抜きのTPPは、アメリカにTPPに復帰させるための手段」などという考えに基づいて、他国間の交渉事が成り立つとでもいうのだろうか?
等々・・

色々と考えさせてくれるのは、有り難い、むしろ、なぜ、もっと「識者」達は議論しないのか、といぶかしい程に

 単に商売や貿易といった経済固有の課題ではない、軍事・外交が不可分の事案だからこそ、もっと事実・情報の確認と分析を伴った議論がなされるべきだろうに、・・・その、われわれ「庶民」にはできない、そういう事こそを「識者」ならやってみせるべきだろうに!!