2015年8月29日土曜日

今回は、脇先生との対談を拝聴して感じたことについて

今回は、脇先生との対談を拝聴して感じたことについて質問させていただきます。

全編を通して拝見して、ふと考えたことは「会社って何だろう」ということでした。

もともと創業者がいて、その創業者には某かの理念なり目的なりがあって、そこに社員が集った会社という組織に共通する目的は、大づかみに言うと「集まった人々を幸せにすること」であるはずです。「幸せ」の種類にもいろいろあるでしょうが、最低限守られるべきは「がんばって利益を上げたら、それがきちんと社員に分配されること」ではないでしょうか。

そう考えてみると、かつての日本では当たり前であった三大労働慣行、とりわけ「終身雇用」と「年功序列型賃金」という仕組みは、このような精神のひとつの発露であったように思うわけです。

翻って今はどうかと見てみれば、莫大な内部留保を抱えても賃上げを行わないのみならず、正規雇用を減らして派遣社員に置き換えるという、非人道的な労働慣行が横行しているわけです。そこまでして利益を積み増す企業の目的は何なのでしょうか。

今や、大企業のトップとて単なる「サラリーマンの最終出世ポスト」であって、いくら利益を出しても子や孫に残せるわけでもなく、私腹を肥やすことも出来ないのに、あそこまで内部留保をため込む動機が私には理解できません。「法人」とはよく言ったもので、まるで会社が人格を持った生き物であるかのようです。

企業が海外進出した動機にしても、円高によって輸出しにくくなったとか、貿易摩擦を解消しなければならないとか、いろいろ理由はあったわけでしょうが、そのことによって利益を獲得する目的は、会社を維持し、もって社員の解雇を防ぐことにあるはずです。そうでなければ、企業が利益を獲得する理由が見当たりません。

総理が経済団体にお願いをして、賃上げが行われたという話もありました。それはそれでよいのですが、本筋からは外れているように思います。それこそ、法律で決める話ではありません。しかし、モラルの問題として、「利益を挙げることが目的化してしまった企業でよいのか」「人を雇う企業の責任とは何か」というようなことについて議論が必要ではないかと思うのですが、西田先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。