2015年11月7日土曜日

電力改革に対する先生のお考えをご教示ください。

電力改革に対する先生のお考えをご教示ください。
日経新聞などを中心に,電力改革が始まりを告げるラッパが喧しく吹かれています。当然のこと,お祭り騒ぎで,問題点の本質が意図的に無視されているように思われます。3.11の後の大混乱に匹敵する又はそれを上回る大混乱に向けて秒読みが開始されたのではないでしょうか。具体的には,電力の安定供給の要である送電網のための設備投資,研究開発投資のための費用をどのように補償するのか,具体的な検討がなされているよう思えません。最初に電力取引の自由化ありき,それが上手くいけば全て上手くいく。かつて先進国,開発途上国を大混乱に陥れ,現在もその命を(すくなくとも日本で)存えているシカゴボーイズの市場原理主義そのものに思われます。電気取引を金融取引の一環とするという,信じがたい発想。「バーチャル」かつ「ストック」の取引を前提とする金融と,巨大なエネルギーかつ充電できない意味で「リアル」かつ「フロー」の取引が前提と電気を同じとして扱うことの危険性がどれだけ議論されたのでしょうか。電力取引を市場取引に切り替えることを検討するのであれば,その前に,電気という非常に扱いにくいエネルギーの需要家への安定配送をどのように確保するか,という問題,具体的には,膨大な数の技術の塊である送電システムの維持・管理に加え,今後予想される比例級数的な送電量の増加に対応できる送電網の整備に不活な設備投資,研究開発投資の財源をどこに求め,かつ,より積極的な投資が永続的が行われるためにどのような制度を構\築するかという問題が意図的に無視さ
れているとしか思えません。いわば,空中ブランコを始めるのであれば当然,安全網を設置してから始めるべきところ,とりあえずブランコを始め,安全網はそのあとで何とかしようという,常識的に考えれば信じがたいようなリスクを日本国民が負うことになると思われます。安全網のない空中ブランコが始まるまでに残された時間はあと僅か,まさに,大混乱へのカウントダウンが始まったと思われます。先生のお考えをご教示いただければ幸いです。